09191611

少女マンガの域を超えた、人の心の闇を暴き、更にその奥をも覗かせてくれる萩尾望都先生作「残酷な神が支配する」。
美しく繊細な絵柄で有りながら、性的虐待や同性愛、ドメスティック・バイオレンスなどといった、ショッキングな問題を多数内含した作品でもあります。

コミックス版は全17巻まで、文庫版は全10巻までが刊行されています。

無料試し読みへ

残酷な神が支配するのあらすじ

愛らしい容姿を持つ少年ジェルミは、ボストンの街で母のサンドラと2人で暮らしていました。
ある日、母親が勤めていた骨董店に、グレッグと言う名の英国紳士が客として通うようになります。少女のように弱く儚いサンドラは、やさしく逞しいグレッグに惹かれ、何時しか2人は恋仲となり婚約するまでに至ります。

ですが、それはグレッグの恐ろしい計略でした。
紳士然と振舞っていたグレッグでしたが、実は彼の本当の目的はサンドラの息子ジェルミだったのです。
グレッグは自分へと依存している母サンドラを盾に、ジェルミへと肉体関係を迫ります。母の為にと、ジェルミはグレッグの要求に応えるのでした。

その後ロンドンに戻ったグレッグはサンドラと結婚し、ジェルミに対する性的虐待は徐々にエスカレートしてしまいます。心も体も疲れきり、なのに誰にも相談出来ずにいたジェルミは、とうとうグレッグを事故死に見せかけ殺す計画を立ててしまうのでした。

残酷な神の支配下から、少年が開放される日はくるのでしょうか。

スマホで立ち読みする

残酷な神が支配するのネタバレ

自動車事故死に見せかけグレッグを殺そうとしたジェルミでしたが、その事故に母サンドラも巻き込まれてしまいます。
最愛の母親を、自分の手で殺してしまったジェルミ。

ジェルミはグレッグの息子イアンに、事故の件で詰問されますが、当初は殺害を否定しました。ですが、母親のサンドラが自分とグレッグの関係に気付いていたことを知ると、2人の殺害を認め入水自殺を図ります。

その後、事故に遭ったグレッグの自動車は欠陥品とされ、ジェルミの殺人容疑は消えます。ですが、ボストンに戻ったジェルミは自暴自棄のように売春夫となり、ドラッグにも手を出してしまうのです。

自分勝手な大人たちに翻弄され、自身の幸せは愚か人生をも狂わされてしまったジェルミ。父親の罪滅ぼしとしてジェルミに連れ添い、支えようとしてくれるグレッグの息子イアン。奇しくも2人の少年は、死んでも尚、自分たちの父親や母親によって支配され続けるのかもしれません。

本編を無料試し読み

残酷な神が支配するの感想

勝手な大人たちの都合や振る舞いにより、2人の少年の心が傷付き壊されるさまは、読んでいるこちら側をどこまでも陰鬱にし、息苦しくさえなってしまいます。

実は母親サンドラは、グレッグとジェルミの関係に気付きながらも、自身の幸せの為に“気付かないフリ”をしていたのです。依存性の高いサンドラの為にと、必死にグレッグ虐待に耐えていたジェルミは、この時自身の母親の裏切りを知ったのでしょう。
美しくも儚い、何時までも夢見る少女のような母・サンドラ。ですが、息子のジェルミを愛しているように見せながら、本当は自分しか愛せない女性だったのかもしれません。

守って貰えるべき子供が、無関心な大人に甚振られ壊されてしまった物語り「残酷な神が支配する」。

それは今の現実世界においても、同じことが言えるのではないでしょうか。

気になる続きはこちら