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一種独特な世界観や絵柄、そして数多くの謎や伏線を見事に回収しまとめ上げた、藤田和日郎先生の傑作「からくりサーカス」。

全編に渡り陰鬱で残虐な表現でありながら、大勢の魅力的なキャラの生き様を垣間見ることで、実はこの物語りが、狂おしいほどの愛や思いに満ち溢れているのだと気付かされます。そして読んでいる者はどんどんと惹き込まれ、作中の登場人物たちと共に戦い、謎を解くようになるのでしょう。

「からくりサーカス」のコミックスは、全43巻までが刊行されています。

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からくりサーカスのあらすじ

この物語は、他人を笑わせないと死んでしまう奇病「ゾナハ病」を患う加藤鳴海(なるみ)が、莫大な遺産を相続したことで悪漢に狙われる少年・才賀勝(さいが まさる)を救い、その勝を護衛する美しき人形使いの少女・しろがねと出逢ったところから始まります。

父親の死により莫大な遺産を相続した勝は、遺産を狙う親族により誘拐されそうになります。

ですがそれを救ったのは「ゾナハ病」を患う中国拳法の使い手・鳴海と、“あるるかん”と言う人形を操りながら勝の祖父の命で護衛をしていたしろがねでした。

数奇な巡り会わせで出逢った3人ですが、鳴海と勝を主人公にしながらは一旦物語は分岐し、しろがねを主軸に多くの謎が複雑に絡まり始めます。

こうして物語が進んでいくうちに、別物であった筈の出来事や人物との関係、更には時間や場所さえ飛び越えながら繋がり、絡まり途切れていた謎が次々に解かれながらひとつの終結へと向かうのでした。

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からくりサーカスのネタバレ

多くの人々を苦しめ、惨殺していた自動人形を作り上げた者。

そして自身の偏った愛ゆえに、人間を死に貶める奇病「ゾナハ病」を蔓延させた張本人こそが、死んだと思っていた勝の父・才賀貞義こと白金だったのです。

白金は愛する女性・フランシーヌが兄の白銀と結ばれると知り、彼女を攫い逃げますが、その旅路にてフランシーヌは死んでしまいました。

彼女の死に逆上した白金は、自動人形を使い罪なき村人を惨殺してしまいます。
その後、弟・白金の罪を償うかのように、白銀は自身を溶かした“生命の水”を村の生き残りたちに飲ませることで、村人たちは白銀の記憶を受け継ぎ、ここに自動人形と戦う“しろがね”たちが誕生したのです。

一方白金も、自身を溶かした“生命の水”を自身の生家・白家の子供に飲ませ、新しい体へと入れ替わっていたのです。

更に実際は血の繋がっていない息子の勝を使い、今度も自身を溶かした“生命の水”を飲ませることで、勝の体で新たに“生まれ変わろう”としていたのでした。

白金のこうした狂気は、たった一人の愛した女性・フランシーヌの為に行われた凶行だったのです。

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からくりサーカスの感想

作中では多くの“人間”以上に、しろがねたちが操る操り人形、そして多くの自動人形が登場します。
更にキャラクターの名前も、始祖である白銀と“命の水”を飲んだしろがね、そして肩書きのしろがねを名前として使うしろがね(本名:エレオノール)と、大変複雑な関連性となっているのです。

また先述しました通り、物語は幾つか分岐しながら進められますが、現代と過去を行き来する事で多くの因縁と原因が解明され、終わりに近づくごとに多くの伏線が回収され帰結に至りました。
壮大な大風呂敷を見事にたたみ上げ、数多くの謎や伏線回収では定評のある藤田先生ですが、この「からくりサーカス」は正にそれらの真骨頂とも言えるでしょう。

残酷な表現が大変多いこの作品は一見敷居が高くも思えますが、そのところどころに沢山の名言や小ネタを盛り込まれた、大変読み応えのある熱い感動作でもあるのです。
誰かの思いに支配された人々と、思考を植え込まれた自動人形、そして全てに抗おうと足掻く人間と、使役される人形たち。

まるでサーカスの舞台で繰り広げられるような、この200余年に渡る人と人形の愛憎演劇を、皆さんも観客として観劇してみてはいかがでしょうか。

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