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ヒトである事を望まれながら生まれ、ヒトでない事を強いられ壊された人形と人間の物語。
画面の端々にまで“背徳”や“廃退”が散りばめられ、綿密で繊細でありながら力強いタッチで描かれた、三原ミツカズ先生の作品「DOLL」。
コミックスは全6巻までが刊行されており、全話一貫して華美で豪奢な“ゴスロリ”の世界が堪能出来ます。

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DOLLのあらすじ

人間への“絶対服従”を前提に製造された、SG社の美しい人型アンドロイド「DOLL-ドール-」。彼らは人間を“しあわせ”にする為だけに造られた、いわゆる「人間の代替品」のような存在です。

ある者は亡き家族の代わりに、またある者は性奴隷や嗜虐の対象にと、人間から与えられる数々の過酷な要求をも、ドールたちは自身へとインプットされた“命令”通りに応え、尽くすのでした。
心を持たないドールではありますが、心の代わりともいえる“集積回路”が、記憶として何時までも失われた時間や人を思い続けもするのです。

そんなドールに“心”を求め、“感情”を与えようとする人間が現れます。
ドールの違法改造を生業としている男、彼がこの作品の根底を大きく揺るがし、そして物語を終末へと導くのでした。

残酷なのに美しく、悲しい筈なのになぜか救われ、心も温まる。人間と、機械との、そんな不思議なお話が幾つも綴られているのが、この「DOLL」なのです。

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DOLLのネタバレ

この物語では幾人もの人間たちが、人に裏切られたが故に、従順で美しい存在であるドールへと“愛”を求めるようになります。

父親に愛されなかった資産家の令嬢は、老いて亡くなるまでドールへと愛を注ぎました。恋人に裏切られた男は、その鬱積を美しいドールへとぶつけます。とある限界集落の老人たちは、ゴミ集積所から蘇ったドールにより心と生活、更に生き方や死に方までもが救われたのです。

こうしたドールたちの基本コンセプトは、SG社の研究室に在籍していた若い科学者夫妻によるものでした。ですが、妻は原因不明の脳疾患に冒され、夫は妻の“記憶”だけを移したドールを作ります。しかし、所詮は“記憶”だけを集積回路へと移植しただけ、ドールは妻の心などは持たぬ、ただの人形でしかなかったのでした。

そしてドールの違法改造を生業としていた男、「一継-いつき-」ですが、実はSG社社長の息子だったのです。彼は幼い時から社長である父親から、“人間”ではなく自分の手足となる“人形”である事を強いられていたのです。

人間の欲のはけ口とされてきたセクサロイド「SG-888」に、一継は“心”を与えようとします。妻の記憶しか移植できなかった科学者が生み出したドールに、父親から人であることを否定された一継が、“心”と自分の“名前”さえも与えるのでした。

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DOLLの感想

事前にインプットされた命令とはいえ、ドールたちの言葉や行動には全くの嘘偽りが無く、そこには泣きたくなるほどの純粋さや健気さしか存在しません。
だからこそひと際、“心”という厄介なものを持つ人間の醜さや愚かさが浮き彫りにされ、と同時に美しいドールを通して、その悲しさや哀れさが読む者の心を揺さぶるのです。

機械の部品が破損しても、私たちは“痛い”とは感じません、ですが作中でドールの腕が?げ落ちてしまうと“痛い”と感じてしまいます。車から油が漏れていたなら危ないとは思いますが、画面でドールから油が流れ出ていると、まるで“血”のようだと衝撃さえ受けてしまうのです。

更に言葉を操り、会話をし、自分の傍に居てくれる、人の形を模したモノ。まさにドールは人間の為だけに生み出され、存在を許された究極の「癒し」であるのかもしれません。

幸福や救いは、人の数だけあるといいます。
作中で私たちが、勝手に不幸だと思うドールたちですが、実は幸福な思い出だけを記憶として集積回路に沢山残し、壊されていったのかもしれません。

そんな彼らの、美しくも残酷な物語「DOLL」を、皆さんも覗いてみてはいかがでしょうか。

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